2005年5月号

先日の出来事。 ニューヨークに住む友人と電話の会話で、毎度の定番の質問が出た。 
友人: 「今何がそっちで流行ってる?」
 
私:「こっちはね、韓国ドラマがブームと言えるかな。 そっちはどう?」
友人:「こっちはサムライなどの日本ブームとまではいかなくとも、やはり注目は浴びてるね」


という事で、友人の話を元に調査を開始してみた。
話では、普段から日本の芸能や文化やアニメがアメリカ社会に定着し、もはやアメリカ文化にすらなりつつあるとすら友人は言う。 確かにこれは前々から俺も感じてたんだが、改めて言われて、「じゃ、ちょっと記事にしようか」と思い付いた。

友人の指示に従い、インテリ層に愛される事で有名なワシントンポストのサイトを調査すると、なるほど友人が言っていた広告が出ていた。 (以下の画像を参照)


 
上の縦長の青い部分の広告がそれだ。 教養番組として人気のあるディスカバリーチャンネルが、武道を通じて日本思想を深く解説するというものだ。 タイトルはWay of Warrior(サムライの生き方)。 番組では武士道的忍耐や厳しい自己戒律が日本人の人間形成に役立っていると解説している。 最近の日本は、そんなでもないと思うのだが・・・。

ついでに気が付いたのが、「今週公開される最新映画」という欄に目をやると、黒澤監督の代表作”七人の侍”(1954年作)がある映画館で復刻版として放映される記事が掲載されている。 この映画はハリウッド映画に大きな影響を残した作品で、沢山のハリウッド映画がこの作品を元に作られている。 特にアメリカを代表する映画監督のジョージルーカスは、事ある毎に「自分の映画は黒澤映画が基盤となっている」と述べる。 他には最近”キルビル”の連続ヒットでノリにノっているタランティーノ監督も、黒沢映画を真似ている事を認めている。 

ところでサムライブームといえば、最近面白いフラッシュ動画がネット界で注目されている。 作品名を”ニンジャイ”と呼び、アニメながらもマニアックな日本映画とそっくりな筋書きとなっている。

初めてこの動画を見た感想は、「結構グロテスク」。 その次に興味を持ったのが、「一体どんな人物がこの作品をどういう意図で作ったのだろう?」であった。
そう思って動画を観ると、動画に出てくる日本を意識する風景やサムライの衣装やバックソングが、日本らしくない。 むしろ中国っぽさがある(これはアメリカ人が、日本のイメージを描く時の特徴でもある)
恐らくアメリカ人が製作したのだろうと推測しながら、ニンジャイのホームページを調べてみた。

と、やはり、日本人ではない。
が、・・・驚くべき事実が浮かび上がる。
何とこの動画は、数名の少年(25歳〜15歳)が作ったのだ!
素人の少年が作ったにしてはレベルは高い。
その理由は、先ず1.アニメの描写力 2.フラッシュソフトを使いこなすレベル 3.日本文化と思想を非常に良く知っているという点だ。

●どの様にして”ニンジャイ”が誕生したのか?(インタビューより)
このニンジャイという作品は、これら少年の仲間(俳優、映画製作を目指す友達)の一人が、スタントでケガをし、病院で生活する事がキッカケだったとインタビューで話す。
そのケガをした少年が病院生活で何もする事が無かったので、パソコンを駆使して作品を作る決意をし、仲間にアニメ構想を話したのが始まり。

「最初はサムライではなく、昔話を描いており、日本が舞台になるなんて考えてもいなかった」と、仲間はインタビューで打ち明ける。
それは単なる手書きの漫画から始まり、動くアニメへと変っていったのだ。

●なぜ”ニンジャイ”をネットで配信しようと考えたのか?(インタビューより)
「できるだけ全ての製作を、自分達だけの力でやりたかったんだ。 人とかスポンサーに頼ると、自分達の意見や考えが通らなくなるから。 そういう意味ではインターネットなら、
自分達のアイデアをテレビ製作の様な複雑な手順と莫大な資金を必要とせず伝える事ができるから。 でも、本当のところは、あまり深く考えてなかったんだ。 ただ単に自分達が楽しんだのだから、他の人も同じだろうと考え、ネットに載せたんだ。 金儲けとか、先はどうなるとかは全く考えてなかったよ」

彼等はインタビューで、普段はビルの窓拭きや、自動車整備の仕事をしていると話すが、今は間違い無くアニメ製作が本業だろう。
何せ世界的に有名なマクロメディアのフラッシュソフトの看板モデルとして彼等の作品が採用されたのだから、相当な額の著作権収入がある筈だ。
ニンジャイのサイトで彼等の近況を調べると、「現在ニンジャイの製作が遅れているのは、映画化(およびテレビドラマ化)される為の脚本を製作しているからだよ」と説明している。

彼等の夢はアニメではなく、あくまで映画だと話すだけに、ひょっとしたらこれら少年達による脚本からキャスティングまで全て自分達で製作する映画が、近いうちに観れるかもしれない。

ところで彼等のバックグランドについてはこれくらいにし、作品について話してみよう。

【ニンジャイ・ストーリー】
顔を見せないが、傘で顔を隠した子供が主人公で、名前をニンジャイという。
「自分が一体何者なのか?」という答えを追求し、旅に出るという(アメリカらしくない、ちょっぴり日本っぽい、哲学の匂いがする)ストーリー。 途中色んなアクシデントに遭遇するが、旅は続く。

作品は至ってアメリカ人らしくない発想で仕上がっている。 なぜコレほどまでに、日本の”間(ま)”という演出を、見事にアメリカ人が創り、日本的考え方をストーリーに織り込んでいるのか疑問に思ったが、彼等全員がマーシャルアーツ(日本武道)を習い、凝っているという理由を読んで納得。 どうりで良く日本を知っているワケだ。
今時のアメリカ少年は、日本文化にどっぷり浸かって育つ子が沢山いる。 皮肉にも、日本人以上に日本の文化を大事にする子も沢山いる。
だからアメリカ育ちの少年でも、こういう作品が造れても納得というワケ。

■なぜ、サムライ(日本)?
この記事の一番最初に、「日本文化はアメリカ文化の一部になっている」と話したが、ニンジャイを作った少年達も含め、日本文化はアメリカで最も支持された文化となっている。 また日本語はアメリカで最も人気のある外国語として、多くの学校の授業としても採用されている。 当然子供達はテレビで日本のアニメや漫画を見て育ち、サムライや忍者に憧れ、大人になってからも、その西洋に存在しない思想に再度魅了される。

日本では日本文化を意識する事はなくとも、外国では日本文化が意識されており、日本を見て育つ外国の子供達が沢山居る事に、考えさせられるものがある。

その注目される最大の理由は、日本にはアメリカに無い夢が存在するからではないだろうか?
日本といえば、イチローなど小さな体で大男を相手にメジャーリーグで活躍したり、その昔はアメリカに移民した日本人が、小さな体で大男を柔道で何度も何度も投げ飛ばした事でも有名だ。 これらミラクルと呼ばれる日本らしい離れワザは、アメリカの子供達が感動する理由でもある。 また、日本には、世界でも稀な治安とモラルレベルの高さがある。 これら理由を武士道などに見付けようと、アメリカでは教養チャンネルで、深く掘り下げて解説までしているのだ。

多民族国家アメリカで、これほど世界中の文化と民族が揃う中、アメリカでは日本文化をダントツで支持し、憧れているという事実に、ニンジャイじゃないが、「我々日本人は一体何者なのか?」と、自問したくなる。

こんな事を漏らすと、「俺達の一体どこが素晴らしいんだい?」なんて友達に突っ込まれそうだが・・・(笑)

T.J

ニンジャイサイト
http://www.atomfilms.com/content/ninjai/

アニメを閲覧するには、上のサイトにアクセスし、 チェックボタンを選択します。
左側がダウンロードのスピードの選択で、ADSLや光なら下を選択します。
右側は画面の大きさで、上が小さい画面で、下を選択すると全画面で閲覧できます。
次ぎに「SAVE PREFERENCE」という真中のボタンを押せば、後は1番から順に選択し、アニメを閲覧できます。

 

 


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