APRIL Issue 

                     資料提供: ジョン・ロマノ 
                     翻訳編集: 
S&F MAGAZINE

 カイティン・キトサン(日本呼びでチキン・キトサン)って、本当に減量に有効?                         

 私は大抵夜になると、コンピュータ画面の一角をテレビにし、それを観ながら仕事をする習慣が有ります。 そしてくだらない番組が映ると、チャンネルをコロコロ替えるというのも癖です。
そんな私だけに、かなりインフォマーシャル(テレビ商品紹介番組)に精通しています。 それにしても(全部が全部とは言わないが)良くまぁあれ程詐欺まがいのような事を平気でやってるなぁと関心させられる事が多々有ると同時に、”転職しようかな?”と考え込ます程、本当にこの手の番組は人気が有り、今や巨大産業として立派に定着しています。

中でもアブ・ローラー(腹筋マシーン)は最近このマーケットで流行している商品です。
 あるインフォマーシャルでは、少しボディビルダーのような体つきをした男を連れて来、番組の中頃でその男のTシャツをまくり上げ深く刻まれたシックスパックを見せます。 そこでこの男がま顔で言います! 「ボクの腹筋が出来たのは、100%このアブ・ローラーのおかげです!」と。 それを聞いた会場の観衆は、あたかも長年に亘るモアイ像のナゾでも解けたかのように、お互いの顔を見合わせ、首を激しく縦に振り始めます。  
 私はこのシーンを観る度に”エ〜かげんにセいッ!”と、一人で突っ込んでいます。 
 大体あのインフォマーシャルに出てくる男は、私が通うジムにいつも来ていて、一度もアブ・ローラーなんか使ったところを見た事がない!
しかし、まだアブ・ローラー等ましな方です。 ”オキシジェン・カクテル(酸素のカクテル)”なんかが
テレビに出てきた時には、私はテレビの前で凍り付いてしまいました。

”さ〜皆さん、その手前にあるマスクを顔に付けて〜! どうです〜? 気分がリフレッシュしませんかァ〜?”と出てきたのは、正に救急車の中に有る酸素マスクで、マスクがきれいな透明プラスチックで出来ているのと、酸素ボンベが手のひらサイズに小さくなっている以外は、全くイッショであるっ!!
 ”お肌にもいいんですよネ〜”と言う司会者に、”そうなんです、これを使ってからお肌がきれいになっただけでなく、仕事のストレスも解消しました!”という女性の体験者。
 だいたい海抜8000メートル上に住んでいるならともかく、普通の生活環境に住んでいて、なんで酸素ボンベが要る?!
「 アナタ〜、今朝は一段と酸素が薄いみたいヨ〜、ストレスを溜ないように気を付けてネ〜ッ!」何ていう朝の会話を聞いた事が有りますか?
一体どこまで消費者をバカにすれば気が済むのだろう。 が、しかし・・・実際バカ売れしているという事は・・・ やっぱり消費者はバカなのか???


 お腹や太ももを細くする器具のインフォマーシャルによる年間総売上高は、米国内だけでも380億ドル(日本円にして4兆円以上)で、実際 売上高と視聴者数は年々増える傾向に有ります。 そんな中当然の流れとして、好きな物を好きなだけ食べても太らないという”ミラクル・ピル”が市場に出回るようになりました。 そのキャッチは、食事前に1錠飲めば、食べた物全ての脂肪分は吸収されずに体外に排出される為、太らないというものです。 
インフォマーシャルでは美しく健康的でスリムなモデル達が、油っこいチーズバーガーやピザ、フライドチキンを何の気兼ねも無く、笑顔でムシャムシャ食べます。 そしてそれを、ヨダレを垂れんばかりに大きな口を開け、取り付かれたように見とれる太った観客達。  もうこのレイアウトだけでも充分笑わせてくれます。 しかし本当にその様な夢の減量薬が存在するのでしょうか?

カイティン・キトサン
 実際油っこい食事の前に取れば、脂肪分の吸収を妨げるという物は存在します。 しかしそれは、どの程度の量を取るかによります。 植物性せんい質が脂質の体への吸収を妨げる事は良く知られています。 メカニズムは、消化液と脂肪は陽性イオンで出来ており、そこへ陰性イオンの食物せんい質が来るとお互い結びつき、結果的に大きな粒子となり、腸壁から吸収されずにそのまま対外へ排出されるというものです。
 最近の研究では食物せんい質よりキトサンと呼ばれる動物せんい質の方が遥かに優れた効果が有る事が確認されました。 キトサンとはアルカリ性のカイティン(カニ、エビの甲羅に含まれる動物性せんい質)の事で、その成分に含まれる幾つかのアミノ酸が、植物せんい以上に脂質に対する結合性が高いのです。 その有効性は
実に55%も食物せんいより優れていると報告されています。 という訳で、安心して油っこい食べ物を好きなだけ食べて良い!・・・と、結論を急いではいけません。 インフォマーシャルは完全に間違ったメッセージを視聴者に送っています。

キトサンの有効性
 キトサンにはコレステロール値を下げる上で、非常に有効で有る事が研究で確認されています。
 或るネズミを使った実験では、高コレステロール食にキトサンを加えたところ、血中のコレステロール及び、肝臓内のコレステロール値が大きく下がった事が確認されました。
 人体実験では3〜6グラムのキトサンを2週間にわたり摂取したところ、コレステロール値が6%減の他、善玉コレステロールが10%増加したと報告されています。
 他には腎臓に問題の有る透析を受けた患者にキトサンを1日4グラム、12週間にわたり与えた例が有りますが、この場合コレステロール値を43%下げる事が出来たと報告されています。

他の効用
 動物と人体実験の結果、現在分かっている効果は他にも幾つか有ります。 先ず1つは高塩分食を取った場合に起こる高血圧を抑える作用です。 
実験では被験者に高塩分食を与えつつ、1日5グラムのキトサンを摂取させたところ、血圧の上昇を抑制する効果が確認されました。
 他の特筆すべきキトサンの効果は、キトサンの水溶液を直接傷口に適応した場合、かさぶたが出来ず傷跡が殆ど残らない状態で完治する事です。 又医療実験では、手術の際、メスを入れた部分にキトサンを塗ると、殆ど手術跡が残らない事も確認されています。 
 他には動脈移植の際、動脈の繋ぎ目にキトサンを塗ると、出血を防ぐ効果が一段と上がる事も報告されています。


 キトサンの効果はこれだけで終わりません。 最近の研究では免疫力を高める上、腫瘍の広がりを抑制する効果までもが確認されています。

賢いキトサンの使い方
 ご覧のようにキトサンには減量効果のみでなく、医学的見地からも目を見張る程の沢山の効果を持つ、可能性に満ちた存在です。 減量に関してのみ言える事は、残念ながら現在のところ”好きな物を好きなだけ食べて太らない”というミラクルピルは存在しません。 恐らく何時かその様な薬が誕生するかもしれません。 しかし今しばらくは、毎回の食事前に1グラムのキトサンを取れば、食事中の幾らかの脂肪分の吸収が妨げられるという効果が研究で勧められている程度です。 上手に使えば本来の恩恵を得られる事は間違いないでしょう。

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