バイオアクティブ・ファットバーナー

2001年7月号


原本執筆:Dr. ダン・ガートニー
翻訳編集:S&Fマガジン

アート&演出:S&Fマガジン

   Please note: The original source is from Muscular Development. However ,those articles, translated, edited, and embelished in such an entertaining way, were mostly re-written coordinated by the writers & editors of S&F Magazine. Therefore, the meanings of those articlea are not precisely translated from its original.    S&F magazine is in no way affiliated with Muscular Development, and does not profit from anything that is included in it. It is only meant for your enjoyment and fitness education. 

西暦19XX年 XX月 XX日
X大学X研究室

研究員:「博士、これこそが私達が長年求め続けたものではないでしょうか?」

博士:「分からん・・・」

研究員:「いや、間違いない! そうに決まってる!」

博士:「早まるな!」

研究員:「なぜそんなもったいぶるのですか?! ハッキリと言ったらどうですか?! 
      コレこそが私達が長年探し求めてきたものだと?! 
      どーなんですか? 博士!!」

博士:「・・・・・・・・・・・」

    T3−聞きなれない物質名だが、これこそが次ぎの救世主となるべきものなのか?

    遂に長年の戦ってきた肥満という宿敵を倒す事ができるという事か?!

    今回こそ我々に勝算はあるのか? 

    神よ!遂に我々はこの宿敵から開放されるという事か?!

    T3こそが我等を長年苦しめて来た呪縛から開放してくれるものなのか?!

    教えてくれ! そうなのか?!! ------------------------ 

 

          X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X X

 

西暦2001年 XX月 XX日

今や肥満は現代病として広く認識されています。 肥満と認識される人の数は毎年増える中、政府やその筋の機関は、肥満の原因が明確に理解できず、未だ治療法も定かではありません。
肥満を予防する手段が不足する中、普通の生活をする為に何とか自己の体脂肪を落したいという人の数も含めると、その数は更に大きくなります。 

過度の体脂肪を減らすには、1つの手段だけではなく、総合的なアプローチが有効となります。 その代表例として食事制限、運動、心理的改革となります。 又同時にホルモン療法や薬により、食欲を抑制したり、食物の吸収をカットする手段がとられ、更に減量を効率良くする有効策として利用されます。

サーモジェネシス 

体脂肪の燃焼は、運動中のカロりー消費等により促進されます。 いわゆる体温を上げる事で代謝率も上げるというメカニズムで、専門用語ではサーモジェネシス(Thermogenesis)と呼ばれます。
サーモジェネシスは体温を上げるだけの為のものではありません。 体を分かり易く例えるなら、車のエンジンと似ています。 通常体は、非常に効率の良いガソリンエンジンと見なして下さい。 燃費が非常に良いので、少ないエネルギー消費で沢山動けます。  しかし体脂肪を落としたいのであれば、燃費率が良くては困ります。 願わくばガソリンをガバガバ食う、アメリカンV8エンジンの様であるべきです。 そうすればどんどん体脂肪を燃焼できる訳です。

甲状腺ホルモンと新陳代謝 

サーモジェネシスをコントロールしているのが内分泌システムで、そのメインが甲状腺ホルモンです。 
甲状腺は2種類のホルモンを分泌します。 それがT4とT3と呼ばれるもので、何れも脳の視床下部でコントロールされます。 
甲状腺ホルモンは血液に乗って体内を巡り、新陳代謝率に影響を与えるのですが、分泌量が少ない人は体温のコントロールが上手く行かず、カゼになりやすく、更には体が重く感じ食欲も少なく、その上体脂肪はどんどん増えるタイプです。 一方甲状腺ホルモンが多く分泌する人は、新陳代謝率が高く、食欲旺盛にも関らず、体脂肪が付かないタイプです。 但しこの手の人は暑い気候や場所が苦手で、不快すら感じる事でしょう。

上記の理由より、肥満の人には甲状腺ホルモンが処方されるのが一般的だったのですが、近年では適当な手段としては見なされておりません。 

甲状腺ホルモン療法が試された当初は、動物の甲状腺から抽出されたホルモンを投与していましたが、その後人工のT4とT3が製造されるようになり利用されました。 しかし、当時これらホルモンを処方する上での指導マニュアルが未だ普及していなかった為に、大量投与からくる副作用が患者に沢山見られたと記録されています。
(過度の投与から来る副作用は、上記に上げた例を更に悪化し、他には筋肉減少、下痢、不妊症等があげられます)
やがて肥満に対する他の選択肢が登場する様になり、遂には利用されなくなったのです。

肥満への使用 

甲状腺ホルモンの使用が停止されたからと言って、これらホルモンが有効ではないとは言い切れません。 実際これらホルモンに対する有効性の結論を出すには、未熟な段階だったと言えるでしょう。 恐らく更に甲状腺ホルモンを研究し、食事法とコンビで肥満療法として利用したのなら、かなりの有効策となった事でしょう。

T3とそのメカニズム 

甲状腺から分泌したホルモンは、直接新陳代謝に影響を与えるのではなく、細胞代謝物であるT4が与えるのです。 T4は血中を漂うタンパク質と結合し、血液に乗って体内を巡ります。 しかしその若干はそのタンパク質と結合できないままで漂います。 それを”フリーT4”と呼びます。 フリーT4はその後細胞内に取り込まれ、そこで5'-deioinaseという酵素により、ヨウ素分子を奪われます。 そのプロセスが、T4をT3へと変換させるのです。 また更にはT3がT2へと変換される事もあります。  

新陳代謝率は、これら細胞内に取り込まれ変換された甲状腺ホルモンにより影響を受けるのです。 ですから過剰か不足かを血液中のホルモン量を基に測っても、決して正確ではないのです。 現在のところ甲状腺ホルモンを検査する時は、血中のフリーT4の量とそれに反応して脳下垂体から分泌されるTSHの量を基に測定します。 こうする事で、新陳代謝率を測定する事ができるのです。

人工T3の利点 

甲状腺ホルモンの使用量に関しては、かなり気を付ける必要があります。 一歩間違うと直ぐに新陳代謝は過剰となり、逆に体を壊し始めるのです。この状態下では、体脂肪を素早く燃焼してくれるものの、同時に骨を弱くし、持病で心臓を患っている人などは、致命的な影響を与えかねないのです。 実際これらホルモンを使用開始した当初、死に至ったケースもあるのです。 しかし適量を守れば、有効な手段になるのは間違いないと考えられます。

現在までのところ、沢山のT3と食事法のコンビによる実験が見直されてきました。 その結果、T3を少量で投与すると非常に効果的である事が確認されます。 因みにT3を投与するのは、カロリー制限に体の代謝が慣れてから(6〜7日後)開始する事となっています。
T3は他にも、神経伝達物質に影響を与える事が分かっています。 特に細胞の表面にあるホルモン・リセプター(受容器)の数を増やす為、分泌されたホルモンに体が敏感に反応する結果となります。 又T3はDNAやRNAにも代謝を促進する上で影響を与えます。

最後に 

他に甲状腺ホルモンで影響を受けるのが、細胞内のミトコンドリアです。 
ミトコンドリアはATP(即効エネルギー源)を抱え込み、体のエネルギー消費の効率を上げる役割を果しています。 ですから少ないエネルギー消費で沢山の運動をする、先程の車でいう燃費率を上げる役割をしているのです。 しかしT2(T3が更に変換されたもの)が細胞内に入ってミトコンドリアと接触すると、ミトコンドリアの能力が麻痺してしまうのです。 それが結果的に燃費能力を低下し、体をアメリカンV8エンジンの様にがばがばガソリンを消費する状態にするのです。 これは具体的にはATPの生産を低下し、体温を向上させる事を意味します。

もう一度甲状腺ホルモンの役割を述べると、甲状腺ホルモンとはT4という形で血中に分泌されます。 その分泌された内、タンパク質と結合しなかった一部のフリーT4というのが細胞内に取り込まれ、ヨウ素分子を奪われ、その後T3に変換されるという訳です。 そのT3が細胞のホルモン受容器を増加させ、体をホルモンに対し敏感にさせます。 と同時にT2が”しまり屋”のミトコンドリアの機能を低下し、ATPの製造低下、並びにカロリー消費の促進となります。 これら条件がエネルギーをどんどん無駄に消費させる結果となるのです。 

T4は過剰摂取さえしなければ、非常に効果的な結果が充分期待できるホルモンです。 しかし現在のところ、これらT4やT3は医者の処方箋無しには手に入りません。 また減量には不適正と見なされていますが、食事制限とこれらホルモンをサプリメントとして併用すれば、確かな効果が期待出来ると今でも考えられています。

果してT3がいつか再び皆様のところへ救世主として帰って来る事があるのでしょうか?

その答えは今のところ神のみぞ知ると言ったところでしょう・・・ END

 

 

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