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西暦19XX年 XX月 XX日 研究員:「博士、これこそが私達が長年求め続けたものではないでしょうか?」 博士:「分からん・・・」 研究員:「いや、間違いない! そうに決まってる!」 博士:「早まるな!」 研究員:「なぜそんなもったいぶるのですか?! ハッキリと言ったらどうですか?! 博士:「・・・・・・・・・・・」 T3−聞きなれない物質名だが、これこそが次ぎの救世主となるべきものなのか? 遂に長年の戦ってきた肥満という宿敵を倒す事ができるという事か?! 今回こそ我々に勝算はあるのか? 神よ!遂に我々はこの宿敵から開放されるという事か?! T3こそが我等を長年苦しめて来た呪縛から開放してくれるものなのか?! 教えてくれ! そうなのか?!! ------------------------
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西暦2001年 XX月 XX日 今や肥満は現代病として広く認識されています。 肥満と認識される人の数は毎年増える中、政府やその筋の機関は、肥満の原因が明確に理解できず、未だ治療法も定かではありません。 ●サーモジェネシス 体脂肪の燃焼は、運動中のカロりー消費等により促進されます。 いわゆる体温を上げる事で代謝率も上げるというメカニズムで、専門用語ではサーモジェネシス(Thermogenesis)と呼ばれます。 ●甲状腺ホルモンと新陳代謝 サーモジェネシスをコントロールしているのが内分泌システムで、そのメインが甲状腺ホルモンです。 上記の理由より、肥満の人には甲状腺ホルモンが処方されるのが一般的だったのですが、近年では適当な手段としては見なされておりません。 甲状腺ホルモン療法が試された当初は、動物の甲状腺から抽出されたホルモンを投与していましたが、その後人工のT4とT3が製造されるようになり利用されました。 しかし、当時これらホルモンを処方する上での指導マニュアルが未だ普及していなかった為に、大量投与からくる副作用が患者に沢山見られたと記録されています。 ●肥満への使用 甲状腺ホルモンの使用が停止されたからと言って、これらホルモンが有効ではないとは言い切れません。 実際これらホルモンに対する有効性の結論を出すには、未熟な段階だったと言えるでしょう。 恐らく更に甲状腺ホルモンを研究し、食事法とコンビで肥満療法として利用したのなら、かなりの有効策となった事でしょう。 ●T3とそのメカニズム 甲状腺から分泌したホルモンは、直接新陳代謝に影響を与えるのではなく、細胞代謝物であるT4が与えるのです。 T4は血中を漂うタンパク質と結合し、血液に乗って体内を巡ります。 しかしその若干はそのタンパク質と結合できないままで漂います。 それを”フリーT4”と呼びます。 フリーT4はその後細胞内に取り込まれ、そこで5'-deioinaseという酵素により、ヨウ素分子を奪われます。 そのプロセスが、T4をT3へと変換させるのです。 また更にはT3がT2へと変換される事もあります。 新陳代謝率は、これら細胞内に取り込まれ変換された甲状腺ホルモンにより影響を受けるのです。 ですから過剰か不足かを血液中のホルモン量を基に測っても、決して正確ではないのです。 現在のところ甲状腺ホルモンを検査する時は、血中のフリーT4の量とそれに反応して脳下垂体から分泌されるTSHの量を基に測定します。 こうする事で、新陳代謝率を測定する事ができるのです。 ●人工T3の利点 甲状腺ホルモンの使用量に関しては、かなり気を付ける必要があります。 一歩間違うと直ぐに新陳代謝は過剰となり、逆に体を壊し始めるのです。この状態下では、体脂肪を素早く燃焼してくれるものの、同時に骨を弱くし、持病で心臓を患っている人などは、致命的な影響を与えかねないのです。 実際これらホルモンを使用開始した当初、死に至ったケースもあるのです。 しかし適量を守れば、有効な手段になるのは間違いないと考えられます。 現在までのところ、沢山のT3と食事法のコンビによる実験が見直されてきました。 その結果、T3を少量で投与すると非常に効果的である事が確認されます。 因みにT3を投与するのは、カロリー制限に体の代謝が慣れてから(6〜7日後)開始する事となっています。 ●最後に 他に甲状腺ホルモンで影響を受けるのが、細胞内のミトコンドリアです。 もう一度甲状腺ホルモンの役割を述べると、甲状腺ホルモンとはT4という形で血中に分泌されます。 その分泌された内、タンパク質と結合しなかった一部のフリーT4というのが細胞内に取り込まれ、ヨウ素分子を奪われ、その後T3に変換されるという訳です。 そのT3が細胞のホルモン受容器を増加させ、体をホルモンに対し敏感にさせます。 と同時にT2が”しまり屋”のミトコンドリアの機能を低下し、ATPの製造低下、並びにカロリー消費の促進となります。 これら条件がエネルギーをどんどん無駄に消費させる結果となるのです。 T4は過剰摂取さえしなければ、非常に効果的な結果が充分期待できるホルモンです。 しかし現在のところ、これらT4やT3は医者の処方箋無しには手に入りません。 また減量には不適正と見なされていますが、食事制限とこれらホルモンをサプリメントとして併用すれば、確かな効果が期待出来ると今でも考えられています。 果してT3がいつか再び皆様のところへ救世主として帰って来る事があるのでしょうか? その答えは今のところ神のみぞ知ると言ったところでしょう・・・ END
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