食べ過ぎを防ぐ新商品   2004年12月30日(木)

年末年始になると、賢く食事がなかなかできないものです。 年末に沢山の食べ物が出される中で、少量で食事を終えるのはほぼ不可能でしょう。
そんな中、年末年始の暴食を防ぐ為にある器具が開発されました。
それは口内の天井部分に装着するもので、一度に口に含める食べ物の量を減らすというものです。 その結果食べるスピードが落ち、食べ過ぎを防ぐのです。

脳の満腹中枢が食事から来る満足感を受信するにはおよそ20分かかると言われます。 それ故早く食事をする人はつい食べ過ぎになるのです。
「ゆっくり食べる事で、食べ過ぎを防ぐ事が可能になるのです」と話すのは、ルイジアナ州立大学で心理学を教えるマーティン教授です。 教授曰く、「ゆっくり食べる習慣を身に付けるのは、非常に難しい事が分かったのです」

研究では、この器具が被験者の食事スピードを落とすのに効果があるのかが審議されました。 被験者は、肥満指数27〜40という肥満体〜極度肥満体の方32名に参加してもらいました。
実験では、初日に普通の食事をしてもらい、2日目から半分の被験者に器具を食事の際に装着してもらいました。 その結果摂取カロリーが659カロリー少なく、又25%の食事量を減らす事に成功したのですが、全員満腹感を感じる事ができたのです。
マーティン氏曰く、「器具を使った被験者は、はるかに食べる量が少なくなりましたが、誰も空腹を感じませんでした。 次の実験では、長期的な器具の使用が体重に影響を与えるかを確認する事です」だそうです。

日本でもこの器具がテレビショッピングで販売される日は近いのでは?


ソース元:ロサンゼルスタイムズ
イラスト提供:WING-ISLAND



 コーヒーは悪者?                    2004年6月12日

過去に”ダイエットには不向き!”とレッテルを貼られた食べ物が、後の更なる調査で再認識されるケースが多々あります。 例えばナッツ類やタマゴやアボカドや、更にはチョコレートですら研究の結果「心配する程ではなく、むしろ健康に貢献しうる」という理由から食卓に帰ってきています。 最近その最たる例としてあげられるのが、コーヒーです。

1970年代から80年代にかけて、コーヒーは高血圧やガンを引き起こしかねない悪者として叩かれてきました。  「初期の研究結果というのは、大抵は後にやり方に不備があるとして書き換えられるのが常です」というのは、ハーバード・メディカル・スクールで教授を務めるアラン・レビトン氏です。
研究の結果、コーヒーに憂慮すべき点はほんの少ししか確認されず、むしろ有益であるという興味深い証拠を幾つか確認さえしているのです。

過去5年間に報告された研究結果でも、コーヒーは胆石や糖尿病予防に有効だけでなく、パーキンソン病予防にすら有効である事が確認されています。
コーヒーと胆石の関係に注目を浴びたのは、1990年代の事です。 実験ではカフェインが胆石となる結晶の拡大を抑制しただけでなく、結晶化するのすら妨げたのでした。  

「私達が知らなかったのは、実際コーヒーを飲む事が有益かどうか?という事でした」と話すのは、栄養学を研究するマイケル・レイツマン氏です。

1999年、彼率いるハーバード公衆衛生学校が行った、4万6千人の男性を対象に健康診断を元にした調査では、コーヒーを飲む男性はそうでない男性に比べ、驚くほど胆石を患う可能性が低い事が判明したのです。  更に同じチームが2002年、8万1千人の女性を対象に同じ調査をしたところ、同じくコーヒーを飲む女性は飲まない女性に比べ、胆石を患う可能性が低い事が判明したのです。  この調査結果は、非常に説得力があります。 なぜなら、胆石になりにくい可能性は、コーヒーを飲む量に比例し大きく変わるからです。 調査では1日1杯のコーヒーを飲む人では13%胆石になりにくく、1日2〜3杯飲む人では更に21%なりにくく、1日4杯以上飲む人では何と33%もなりにくいという結果でした。  残念ながら、カフェイン抜きのコーヒーでは全く効果は得られないという事です。

他にもコーヒーのカフェインが有益である例として、パーキンソン病になる確率を下げるというのがあります。

2000年、ホノルルで8千人の男性を対象に30年間にさかのぼる健康データを元に調査したところ、コーヒーを飲む男性はそうでない人に比べ、脳と神経機能を蝕む事で知られるパーキンソン病になる確率が極めて低い事が判明したのです。
また2001年に公表された、13万人の男女を対象にしたハーバード公衆衛生学校の調査結果でも、同じ内容が確認されています。
調査を行った疫学者であるアントニオ・アセリオ氏は、「男性は、コーヒーを飲む事でパーキンソン病になる確率を下げる事ができます。 女性の場合も同じですが、飲む量が1日1〜2杯という適量に限ります」と話します。

実際のところ、研究者達もなぜカフェインがパーキンソン病に有効なのか理解していません。 興味深い事に、同じカフェインを含む他の飲み物では、コーヒーと同じ結果は得られなかったといいます。

現在までのところ、カフェインがパーキンソン病に有効な理由として考えられるのは、パーキンソン病を引き起こすホルモンであるドパミン(脳や神経をコントロールする)の不足を、カフェインが脳のドパミン受信体を敏感するのではと考えられます。

驚くべき発見
近年最も驚くべきコーヒーの発見とは、糖尿病(タイプ2)予防に効果があるという事です。
2002年、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌に掲載された、1万7千人の男女を対象にしたオランダの調査では、コーヒーを少なくとも1日7杯飲む人は、2〜3杯飲む人に比べて、糖尿病になる確率が半分になると確認されています。 

ハーバード公衆衛生学校での12万人の男女を対象にした調査では、1日7杯以上コーヒーを飲む男性は、糖尿病になる確立が半減し、女性では30%減が確認されました。

2004年に公開された、スウェーデンの1千4百人の女性対象に、18年間に亘るデータ−を元にした調査では、コーヒーを飲めば飲むほど糖尿病になる確率が下がるというものでした。  この事について、研究者達はコーヒーのカフェイン以外の物質が原因であると推測します。

カフェインの短期研究調査では、インシュリン反応を鈍らすという、糖尿病を促進するような結果が出ていますが、コーヒーにはカフェイン以外の沢山の物質が含まれています。 研究者達は、それら未知の物質を調査し始めたばかりです。

バンダ−ビルト大学でコーヒーに含まれる物質を研究するトーマス・パウリス氏は、「カフェインが今まで注目を浴びて調査されましたが、実はカフェインはコーヒーに含まれる何百という物質の一つに過ぎないのです」と言います。
彼率いる研究者達は、コーヒーに含まれるクイナイデスという物質に注目しています。 この物質は肝臓がグルコースを利用するのを促進する効果があるのです。 とすれば、糖尿病患者は血中の糖質をコントロールできる事となります。

他にコーヒーは、抗酸化効果があります。 初期研究報告では、抗酸化効果が口内ガンや心臓病に有効であると確認されています。

なぜコーヒーは悪者?-

ではなぜ、コーヒーは悪者として定着したイメージを今日まで持ってるのでしょう?
「コーヒーの調査を始めた当初、被験者のコーヒーを飲む人の殆どはヘビースモーカーや大酒飲みだったのです(ひと昔まえのアメリカ社会の姿です)。 それ故ガンになる原因の全てをコーヒーのせいにしてしまったのです」と、過去を振り返って話すのは、米国立ガンセンターで研究を務めるレイツマン氏です。

言替えるなら、物質の性質と構造を正確に把握していなかった故に生まれた不必要な誤解といえるでしょう。

初期のコーヒーの研究では、統計的に妊婦がコーヒーを飲めば飲む程流産になる事が確認されました。 その結果、流産の原因はコーヒーにあると判断されたのです。 しかし現在研究者達の認識は当時とは異なり、「妊婦はホルモンバランスの関係上、コーヒーを欲しくなくなるのです。 つまり健全な妊婦であればあるほどコーヒーを飲まない傾向にあり、逆に流産をする様な妊婦は、体機能が狂っている為、妊娠前と同じようにコーヒーを消費する」と考えます。 
ハーバードメディカルスクールのレビトン氏曰く、「コーヒーが流産の原因ではなく、むしろコーヒーが妊婦の体調を計る物差しになるのです」と。
過去のコーヒーの研究報告は、非常に規模が小さくデータ量も不足しており、それが原因でコーヒーを悪者として誤解してしまった点があるとレビトン氏は認めます。 しかし現代のコーヒーに関するデータは膨大です。 何万人もの被験者で研究を進めた大規模なデータが沢山あり、それら研究結果は信頼性が非常に大きいのです。 確かに極わずかな小規模な報告では、コーヒーはガンを引き起こしかねないという例が有りますが、2000年頃に科学者達がコーヒーに関する膨大なデータを集結し、真偽を査定したところ、コーヒーと病気との関係を裏付ける研究報告は一つも見当たらなかったのです。

カフェインは一時的に血圧を上げる為、高血圧者はコーヒーを避けるのが無難でしょう。 しかし幾つもの長期研究では、コーヒーが慢性の高血圧を引き起こす原因として確認された例が有りません。

「本当のニュースと呼べるのは、コーヒーは殆どの人にとって害は無いという事です。 むしろ有益であるという新発見が確認されるばかりです」とレビトン氏は話します。

現在のところ、科学者達はコーヒーについて理解し始めたばかりです。 それ故コーヒーを研究し有益な新発見を確認した研究者達でさえ、今までコーヒーを飲んだ事のない人に対し「さあ、コーヒーを飲みましょう!」と奨励するのは早過ぎると言います。
「パーキンソン病への有効性もしかり、我々はもっと深くコーヒーのメカニズムについて理解する必要があります。 そうする事で自信を持ってコーヒーを薦める日がいつか来るでしょう」と、バンダ−ビルト市でコーヒー学研究所で所長を務めるピーター・マーティン氏は話します。
マーティン氏曰く、「最終的に我々の研究が人々にコーヒーを飲むのを奨励する事に繋がるのではありません。 むしろコーヒー豆の中に存在する物質を元に、薬が作られる事になるでしょう。 実際いくつもの製薬会社は、コーヒーを原料とした薬の製造に興味を抱いているのです」と。

アメリカ国内の統計では、1億6千6百万人以上の人々がコーヒーを飲んでいます。 これは2002年から5百万人増加した事となります。  いずれにしてもコーヒーが有益だというニュースは、おいしいコーヒーを楽しむ理由がもう一つ増えた事になります・・・。

                      by ピーター・ジャレット Los Angeles Times


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