2000年3月号
          

ホルモン・パッチ
男性ホルモン・パッチは、精力減退した方に有効とされますが、決してセックスへの情熱が上がるというものではない様です。 ヘルス・ジャーナル誌に最近掲載された調査によると、大量投与の男性ホルモンは、うつ病を引き起こす傾向にあるそうです。 調査では、4,393人の男性を対象に行われました。 その結果、男性ホルモンを大量投与されたグループは、正常な男性ホルモンレベ ルの者より、3倍の確立でうつ病になる傾向にある事が判明しました。 この報告の筆者アラン・ブース医師は、男性ホルモン剤を摂る人を注意して見守る必要があると話します。 体重が減ったり、グッタリしてしまうのは、何れもうつ病の兆候だそうです。

成長ホルモン剤の有効性を成人患者で確認・・・
”内分泌学と新陳代謝学ジャーナル誌”によると、成人の体内で、成長ホルモンが不足すると、コレステロール値に異常をきたし、筋肉減少と精神的に悪影響があると言われます。 ロンドンに在るセントトーマス病院の、J.ギブネイ医師の調査によると、1987年に21人の成長ホルモンが不足した成人を対象に、10年間にわたり成長ホルモンの有効性を試したところ、成長ホルモンを与えられたグループは、悪玉コレステロールの減少と筋肉維持が見られ、偽薬を服用されたグループには、全く逆の悪影響が確認されたそうです。 他には成長ホルモンの有効性として、エネルギーレベルの向上や、健全な精神的向上も見られたと報告しています。

DHEAが副腎機能低下女性の性欲を向上する?
ドイツにある医療大学病院の、Wiebke Arlt博士によると、副腎機能が正常に働かなくなった女性に、毎日DHEAを投与したところ、精神面と性欲に、向上が見られたと報告。 DHEAの有効性を確認する為に、24人のホルモン分泌の少ない女性(平均年齢42歳)を対象に、DHEAを投与したグループと、偽薬を投与したグループに分け、4ヶ月にわたり調査したところ、DHEAを投与されたグループには、良く有りがちなうつ病や心配性が緩和され、性的な考えを持ち始める傾向が確認されました。 また性的満足感は投与を開始してから4ヶ月経つと見られ、投与を中止した後も効果が持続するそうです。 しかし、副作用として、脂っぽい肌や、ニキビ、体毛が濃くなる等が報告されます。 今やDHEA療法は、副腎機能が低下した女性には有効策として太鼓判を押されていますが、医師の診断のもと使用する事を勧めています。 特に乳癌に要注意だそうです。

水を沢山飲むと大腸ガンになりにくい?
Journal of Cancer(癌ジャーナル誌)に掲載された最近の研究によると、沢山水を飲むと、男性が大腸癌になる率が低減すると報告されています。 Ling-Ling Hsieh医師が、326人を対象に調査したところ、1日に1リットル以上の水を飲む男性は、1日100cc以下しか水を飲まない男性に比べ、92%も大腸癌になる率が低くなる事が判明しました。 Ling-Ling医師によると、「水を沢山飲む事で癌につながる毒素を体内で薄め、又体外に排出するプロセスを早める事が原因かもしれません」だそうです。

膝の関節炎にはグルコサミンが有効
グルコサミンは、関節炎を患う方が薬局で買うサプルメントの主成分ですが、特に膝の関節炎に有効という事が判りました。 毎年開催される、American College of Rheumatology(リューマチ学)の研究会で、ベルギーの212人の患者を対象に3年間にわたった研究報告がありました。 
この調査では、イギリスの外科医により、どの患者がグルコサミンを投与されているかという知識無く、1年目と3年目にこれら患者の膝のレントゲン写真を撮るかたちで行われました。 結果は106人の偽薬を投与されたグループに、膝の関節が細くなる症状が確認されたのに対し、1日1500ミリグラムグルコサミンを投与されたグループには、一人として膝の関節が細くなっているのが確認されなかったそうです。

コーヒーが長期記憶力を高める?
「長期記憶力を高めるには脳細胞のカルシウムレベルを上げなくては」と話すのは、イスラエルのWeizmann Instituteのメナヘム・シーガル教授です。 現在解っているのは、脳の神経細胞にカフェインを与えると脳細胞内のカルシウムレベルが上がるという事です。 シーガル教授率いる研究チームが、脳の記憶を司る神経細胞にカフェインを投与したところ、細胞内のカルシウムレベルが上った事を確認。 しかしそれに伴う最も思わぬ発見は、デンドゥリック・スパイン(神経細胞の末端にある木の枝の様に分岐した部分)が、長く伸びたり、或いは新しい 枝を伸ばしている事実でした。 この研究の結果、成長したデンドゥリック・スパインが、長期記憶力にどの様な影響を与えるのか?という長年にわたる論点に再度注目が集まっています。

エクササイズは年配者に有効
イギリスのスポーツ医学ジャーナル誌に最近掲載された、マリオン・マクマード博士(University of Dundee, Great Britain)の報告によると、医者や年配者は、年をとってから運動を開始するのは怪我をする危険性が高いとし、懸念する傾向にあるそうです。 先ずエクササイズから恩恵を受けるには、激しく運動する必要があると思われがちです。 これが年配者にとって受け入れられない要因の一つでもあります。 又、健康を維持する為に、活動的な生活(歩く、ダンスをする、庭木をいじる、孫と遊ぶ等)をするというコンセプトが、一般に普及していないのも事実です。 マクマード博士によると、老化は避け られないものではなく、又年をとった筋肉を強く鍛えるのも難しいものではないそうです。 
アメリカとイギリスの調査では7、0歳以上の方が週3回3ヶ月にわたり運動したところ、筋力が向上したと報告しています。 歩くことを続けた人は、肺活量が増え、筋トレをした方は、脚力が向上したそうです。  (BBC News, 1999年9月29日)

歩く事が怪我に繋がる?
歩く事は、健全な肉体や精神を作るのに良いとされますが、その一方で、歩く事は足に負担をかけます。 Journal of Aging and Physical Actvity誌に掲載された、カナダのマニトバ大学の研究報告では、79名の51歳から74歳の女性を対象に、毎日歩く事が及ぼす影響について調査したところ、最も良く見受けられた怪我は、足の甲に集中していたと判明。 「上手に歩いてみよう」の著者で、肉体セラピストのシェリー・ブロウマン氏から、歩くに際して2つのアドバイスがあります。 1.足の裏全体を使って歩きましょう。 間違い無く足を怪我する方法は、足の裏の外側、もしくは内側を使って歩く場合で、一度靴底を調べ、どちら側が良く減っているか調べてみれば分かります。 歩く時は足の裏のどの部分が一番最初に着地するのか注意を払って下さい。 そして常に肩幅に足を位置し、踵の真中で着地するよう心掛けて下さい。 もし内側から着地する傾向にあるのなら、外側を意識して着地することになります。 2.偏平足の方は、矯正靴の使用を、又外側を特に使う傾向にある人は、靴底にアーチを入れると有効です。

寿命は生まれた時から決まっている?
2000年2月6日放送のDiscoveryの番組で、「寿命は遺伝子により生まれた時に決まっている事が、現在の科学で分かっている」と、アメリカの遺伝子と寿命の関係を研究する、ドクターが話しましたが、この話を初めて聞いた人は、ショッキングだったでしょう。 その説では、たとえどんなに健康的な生活をしていたとしても、その時が来ると遺伝子より「死になさい」という指令が細胞に送られ、死に至るのだそうです。 この説は、最近判明した事では有りません。 実際これをテレビで話した研究チームは、随分前からこの事実を理解しており、今では遺伝子を操作する事で、ショウジョウバエの寿命を2倍に延ばす事に成功しています。 ドクター曰く、「未来には遺伝子を操作することで、人が300歳500歳と生きる事が珍しく無くなるでしょう」だそうです。

ビタミンE剤の優れた効用
ビタミンEは、100から400IUの量で摂取されると、抗酸化剤として優れた威力を発揮します。 その代表的な効用が 1.心臓病の予防:動脈壁に付着するコレステロールや血管を塞ぐ凝血が心臓発作を引き起こしますが、それらを抗酸化剤として防ぐ役割をします。 2.癌予防:研究ではビタミンEを多く摂取したグループは、発ガン率が低い事が判っています。 3.免疫力向上:細胞がダメージを受けると病気にかかり易くなりますが、そのダメージを抑える働きが、ビタミンEにはあるそうです。 4.白内障予防:沢山の研究で、Eの抗酸化作用が、白内障になる確率を50%以上抑える働きがあると報告されています。 5.タバコや公害からの保護:タバコや公害からの空気の汚れは、体に害を及ぼす、壊れた赤血球を作ることになります。 ビタミンEは、それらから体を守ってくれます。 

高齢不眠症にはメラトニンが有効
高齢者特有の不眠症を患う方が、メラトニン剤を摂取した場合、不眠症解決に非常に有効である事を、マサチューセッツのInstitute of Technologyの研究チームが報告しました。 研究では、高齢不眠症を患う者も含め、50歳以上の30人を対象に、偽薬の他、投与量を異なったレベルでメラトニンを与えました。 結果は0.3ミリグラムと投与量の最も多かったグループが。良く眠れたことが確認されました。 「今後メラトニン使用による短期と長期の副作用性の確認と、どの様な方にメラトニン使用をお勧めでき、どの程度の投与量が適切なのかを研究課題にしたい」と、マイアミビーチで開催された神経科学の学会で、この研究担当者Irina Zhdanovaが話しました。 


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